物流の労働時間規制にどう対応するか|積載率・待機時間・共同配送の優先順位
ドライバーの労働時間制約が強まるなか、荷主側にできる対策には優先順位があります。待機時間の削減、積載率の改善、配送頻度の見直し、共同配送の4施策について、効果の大きさと着手の難易度から順序を整理します。
この記事の要点
- 荷主側が最も早く効果を出せるのは、自社拠点でのドライバー待機時間の削減
- 待機は「予約制」と「受入体制の平準化」で減る。設備投資は必ずしも要らない
- 積載率の改善は納品頻度の見直しとセットでないと限界がある
- 共同配送は効果が大きいが、商流・条件の調整に時間がかかるため中期の施策
ドライバーの労働時間制約が強まるなか、輸送力の確保は荷主側の課題にもなっています。運送会社に依頼するだけでは解決せず、荷主側の業務が輸送の効率を左右している部分に手を入れる必要があります。
本記事では、荷主が取り得る4つの施策を、効果の大きさと着手の難易度から整理します。
4施策の優先順位
| 施策 | 効果 | 着手の難易度 | 効果が出るまで |
|---|---|---|---|
| 待機時間の削減 | 大 | 低(自社で完結) | 1〜3か月 |
| 積載率の改善 | 大 | 中(納品条件の見直しが必要) | 3〜6か月 |
| 配送頻度の見直し | 中〜大 | 中(在庫との調整) | 3〜6か月 |
| 共同配送 | 大 | 高(他社との調整) | 1年以上 |
待機時間の削減が最優先です。荷主が単独で改善でき、効果が短期間で現れ、運送会社との関係改善にも直結します。
施策1|待機時間の削減
まず実測する
改善の前に現状を測ります。記録すべきは4つの時刻です。
- 入構時刻
- 荷役開始時刻
- 荷役終了時刻
- 出構時刻
「1→2」が待機時間、「2→3」が荷役時間、「3→4」が退出待ちです。2週間の記録で、曜日別・時間帯別の傾向は十分に見えます。
待機が発生する構造
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 到着が特定時間帯に集中 | 予約制の導入、受入時間の分散 |
| バース数の不足 | 予約制で平準化、大型・小型の割当を分ける |
| 荷役体制が時間帯で偏る | 要員配置を到着分布に合わせる |
| 検品に時間がかかる | 事前出荷情報(ASN)の活用 |
| 附帯作業が多い | 契約内容の見直し、作業分担の明確化 |
予約制の導入は設備投資を伴わずに効果が出やすい施策です。到着時刻を分散させるだけで、バース数を増やさずに待機を減らせます。
実務上の注意
予約制は導入しただけでは機能しません。次の3点が必要です。
- 予約枠を実際の荷役能力に合わせる(過大に設定すると待機が残る)
- 遅延時の扱いを決める(次の枠に回すか、空き枠に入れるか)
- 運送会社側の使いやすさを確認する(ドライバーが操作しやすいか)
施策2|積載率の改善
積載率は単独では上がりません。納品頻度と表裏の関係にあるためです。
| 現状 | 積載率 | 改善案 | 影響 |
|---|---|---|---|
| 毎日納品 | 低い | 隔日納品へ | 在庫が増える |
| 小ロット多頻度 | 低い | ロットの拡大 | 保管スペースが必要 |
| 混載なし | 低い | 他商品との混載 | 荷役が複雑になる |
判断は、輸送費の削減額と在庫増加のコストの比較で行います。商品ごとに回転率と単価が違うため、一律の判断はできません。
加えて、パレット規格の統一や、外装サイズの見直しでも積載効率は改善します。これらは商品開発・調達側との調整が必要なため、時間はかかりますが効果は継続します。
施策3|配送頻度の見直し
頻度を下げられる商品を特定する作業です。
| 判断軸 | 頻度を下げやすい | 下げにくい |
|---|---|---|
| 回転率 | 低い | 高い |
| 保管スペース | 余裕がある | 逼迫している |
| 鮮度要求 | 低い | 高い |
| 需要変動 | 小さい | 大きい |
まず全商品を上表で仕分け、「下げやすい」に該当する商品群から隔日納品へ切り替えます。全商品を一律で変えるのではなく、商品特性で分けることが要点です。
施策4|共同配送
効果は大きいものの、調整に時間がかかる中期施策です。成立しやすい条件を整理します。
| 条件 | 成立しやすさ |
|---|---|
| 納品先が重複している | 高い |
| 商品の温度帯が同じ | 高い |
| 納品時間帯の要求が近い | 高い |
| 荷姿・パレット規格が同じ | 高い |
| 競合関係にない | 高い |
これらが揃わない場合、調整の負荷が効果を上回ることがあります。まず特定エリア・特定商品群に限定した取り組みから始め、実績をもって範囲を広げる進め方が現実的です。
効果の測り方
| 指標 | 測り方 | 意味 |
|---|---|---|
| 平均待機時間 | 入構〜荷役開始 | 荷主側の改善度 |
| 待機30分超の件数 | 記録の集計 | 深刻な待機の発生頻度 |
| 積載率 | 実績数量/車両容積 | 輸送効率 |
| 車両1台あたり納品件数 | 配送実績 | ルート効率 |
| 運送費/出荷金額 | 会計データ | 総合的な効率 |
待機30分超の件数を併せて見ることを推奨します。平均値だけでは、一部の便で発生している長時間待機が見えなくなるためです。
進め方の順序
| 時期 | 取り組み | 到達点 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 待機時間の実測、到着分布の把握 | 改善余地の特定 |
| 2〜3か月目 | 予約制の試行、受入体制の調整 | 待機時間の削減 |
| 4〜6か月目 | 商品別の納品頻度の見直し | 積載率の改善 |
| 7〜12か月目 | パレット・外装の標準化検討 | 継続的な効率改善 |
| 1年目以降 | 共同配送の検討 | エリア単位の最適化 |
まとめ
輸送力の確保は運送会社任せにできる問題ではなく、荷主側の受入体制と納品条件が効率を左右します。最も早く効果が出るのは自社拠点での待機時間削減で、予約制と受入時間の分散という設備投資を伴わない施策から着手できます。
積載率と配送頻度は表裏の関係にあるため、商品特性で仕分けたうえで判断してください。共同配送は効果が大きいものの調整に時間がかかるため、中期の施策として位置づけるのが現実的です。
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参考
よくある質問
- Q. 荷主側は何から着手すべきですか?
- 自社拠点でのドライバー待機時間の削減です。荷主が単独で改善でき、効果が短期間で現れます。まず現状の待機時間を実測し、到着時刻の集中している時間帯を特定してください。予約受付の仕組みと、受入時間の分散だけで大きく改善する例が多くあります。
- Q. 待機時間はどう測ればよいですか?
- 入構時刻と荷役開始時刻、荷役終了時刻と出構時刻の記録を取ります。運送会社側で記録している場合もあるため、まず提供を受けられるか確認してください。2週間程度の記録があれば、曜日別・時間帯別の傾向は十分に見えます。
- Q. 積載率を上げるにはどうすればよいですか?
- 積載率は納品頻度と表裏の関係にあります。毎日納品を維持したまま積載率だけを上げることはできません。頻度を下げても在庫で吸収できる商品を特定し、その分を隔日納品に切り替える、といった検討が実効的です。パレット規格の統一も効果があります。
- Q. 共同配送は現実的ですか?
- 効果は大きいものの、参加企業間で納品先・時間帯・商品特性の条件を揃える必要があり、調整に時間がかかります。同一エリア・同一業態で納品先が重複している企業同士であれば成立しやすく、まずは特定エリアの限定的な取り組みから始めるのが現実的です。
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Pactom 編集部
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